alternative

そこからが狂気の実験の幕開けだった。

死亡した時雨の臓器を全摘出。

代わりに、事前に捕獲しておいた一体のＡＯＫの臓器を移植するという前代未聞の人体実験。

これが成功すれば、ＡＯＫのように強靭な肉体と高い再生力を持つ兵士が誕生するかもしれない。

流石に臓器の移植には強い拒否反応が伴った。

何度も何度も肉体が臓器を拒絶し、幾度となく生死の境を彷徨った。

しかし呪わしいこの肉体は、その拒絶さえもやがて受け入れ、時雨の体は化け物同然となる。

体を貫通されても、真っ二つにされても死なない…死ねない体となったのだ。

「曹長の時に一度戦死して二階級特進…人体実験の被験者として貢献した為に一階級昇進…その後、軍刀を得て数多くのＡＯＫを仕留めた功績から一階級昇進…結果、入隊から四年で少佐に登り詰める事になった…尤も…」

時雨は苦笑いする。

「好きで人体実験の被験者などに貢献した訳ではないがな…」