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その日の夕食の時間。

「ちょっとみんな、いいか?」

食卓を囲んでいた仲間達に、ラルフが人数分のワッペンを配る。

「これを90式歩兵強化装備の左腕に貼り付けてくれ。時雨分隊の隊章にしようと思う」

ラルフから直接手渡されるワッペン。

交差した2本の矢の上にラルフ達が愛用する軍刀、下にリボンが描かれている。

リボンにはラテン語で『de oppresso liber(抑圧からの解放)』という文字。

「アメリカに、グリーンベレーという特殊部隊があってな。その記章をモチーフにしたんだ。尤も、グリーンベレーの記章は短剣が、時雨分隊の隊章は軍刀が重ねられているだけ…殆どパクリだけどね」

「いや、でもかっこいいよ、これ」

綾斗がワッペンを惚れ惚れと眺める。

「抑圧からの解放か…」

晴はこの言葉が気に入ったらしい。

『抑圧からの解放』はグリーンベレーのモットーでもある。

虐げられた罪なき人々に再び自由を与える為に戦う。

AOKの支配下に置かれた日本を奪還する為に戦いに臨む、彼らの状況に似ていた。

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