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「逃げるぞ…!」

ボロボロになった体を引き摺り、皓が一歩踏み出す。

それに続くように胸を押さえたまま綾斗が、左腕をダラリと下げたまま晴が、咳き込みながら奈々が、顔面の血を拭ってラルフが。

逃走するAOKの群れを追撃しようとする。

が。

「追わなくていい!」

凛とした声が、彼らの追撃を止める。

…一人の兵士に車椅子を押され、女性士官が兵士達の間を割って出てきた。

「群れの頭を失ったAOKは、最早烏合の衆に過ぎない…指揮系統を失った軍隊と同じだ。彼らは群れを率いるリーダーをなくし、この国から出て行くしかない」

女性士官…時雨少佐は、酷い有り様の部下達に満面の笑みを見せた。

「任務ご苦労だった、時雨分隊、そして国連軍極東支部の全兵員!総員横須賀基地に撤退し、休息と傷の手当てに全力を尽くせ!」

時雨のよく通る声が、戦場に響き渡った!

「現時刻を以って、国土奪還作戦『Operation Daybreak』は終了とする!胸を張って帰還せよ!貴様らの勝利だ!」

高らかに宣言されたその言葉に、全ての兵士の歓喜の絶叫がこだました…!

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