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全部隊が基地に帰還する。

凱旋。

我が家同然の横須賀基地には、兵士以外の者達が温かく出迎えてくれた。

作戦を陰ながら支えていたオペレーター、整備兵、衛生兵。

帰還した兵士達に、すぐ温かい食事をとれるようにと準備してくれていた食堂の面々。

作戦の指揮を執っていた米内司令も、軍服が血で汚れる事も厭わず負傷兵に肩を貸す。

「さぁ、時雨分隊。貴様らも手当てを受けるといい」

時雨が隊員達に声をかける。

「まずは奈々からだな。その吐血は心配だ」

折れた手で奈々の背中を押す晴。

「え…い、いいよう、私は後で…晴君や綾斗君達が先に手当てしてもらいなよう」

遠慮がちに奈々が手を横に振る。

「僕はいい、剣道部の頃から怪我には慣れっこだから」

そうは言いつつ、綾斗は折れた肋骨に手を当てている。

「ええいっ、誰でもいい!」

時雨が三人の背中をまとめて押した。

「早く治療してもらえ!貴様らの怪我は痛々しくて見るに堪えん!」

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