alternative
基地の敷地内のそこかしこで、治療や食事、休息が行われる。

重傷の者を優先に。

衛生兵の手際がよく、幸いにもこれ以上の死者が出る事はなかった。

絶対安静は必要なものの、命に別状ある者は皆無。

「よかった…みんな無事なようだな…」

左腕を吊ってもらった晴が、僅かに溜息をつく。

「ん…まぁ…」

頭に包帯を巻いたラルフが、俯き加減に呟いた。

「『みんな』無事だった訳ではないけどな…」

その言葉に、時雨分隊の隊員達の表情が曇った。

確かに、最終作戦での戦死者は数万人規模とも数十万人規模とも見られている。

まだ作戦終了直後。

正確な数字さえ把握できていないというのが現状だ。

「俺達がもっと頑張れば…助けられたのかな…」

悲しげに呟く皓。

「お前の責任じゃない、皓…俺の指揮能力がもっと高ければ…」

ラルフがゴーグルを指で押し上げる。

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