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「何を言う」

時雨がラルフの背中を叩いた。

「貴様は十分に時雨分隊の能力を引き出し、作戦に貢献した。己を律し、部隊の運用の為に自分を殺して粉骨砕身の働きをしてくれたのだ。胸を張れ」

「…時雨少佐…いえ…」

こんな時だ。

一度くらいはいいだろう。

「時雨…ありがとうな。いい女だよ、お前…」

ラルフは笑みを浮かべ、上官である時雨を呼び捨てにする。

驚いたように目を丸くする奈々。

時雨が激怒すると思ったのだろうか。

皓がアワワと狼狽する。

が。

「思えば貴方の方が年上でしたよね、ラルフさん…」

艶やかな微笑みで、時雨は普段聞き慣れないような女言葉を口にした。

「数々の非礼を怒る事なく、私に従って頂いて感謝しています…貴方こそ素敵な殿方ですよ…ラルフさん…」

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