alternative
傷を癒し、体を休め、大いに食べ…。

中にはどこから持ってきたのか、酒まで呷る兵士達。

基地に夜の帳が下りてきても、その宴のような賑わいはとどまる事を知らなかった。

本来、軍の基地で酒宴を催すなど軍法会議もの。

戦時下では決して許される事ではない。

だが米内も、時雨も、誰一人としてそれを咎める事はなかった。

…彼らはこの日の為に戦ったのだ。

目一杯笑う為に。

笑顔で生きる為に。

ここまで命懸けで戦ってきたのは、今日という『明日』の為。

ならば乱痴気騒ぎくらい、笑って見過ごしてやろうではないか。

多くの者達の笑顔。

その笑顔の目尻に浮かぶ涙。

死んだ友を想ってか、やっと訪れた束の間の平和を想ってか。

訳もなく溢れ出す涙の意味を、誰も理解できぬまま、馬鹿みたいに笑い過ごした。

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