alternative
しかし…。

「時雨少佐、俺達勲章はいらねぇよ」

皓がニカッと笑顔を浮かべる。

「ええ…さっきここで話し合ったんです。本当に勲章を得る権利があるのは私達じゃない…命懸けでこの国を守った、『彼ら』にあるんじゃないかなって…」

奈々の見つめる先。

そこには、日本の国土奪還までに命を散らしていった、数多くの兵士達の合同墓碑があった。

名を刻みきれないほどの多くの兵士達がここに眠っている。

誰も知らない、死した事さえ気にされる事もない。

けれど彼らは確かにそこにいた。

称えられる事もなく、感謝される事もなく、ただ己の大切なものを守る為に命を捨てて戦場に散っていったのだ。

< 211 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop