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そして2006年。

アサバスカ殲滅作戦でAOKに噛みつかれながらも生存したディック・グローレン中尉を精密検査した結果、ある事実が判明する。

100万人に1人の割合でAOKの分泌物に対する抗体を持った人間が存在するというのだ。

彼らは微量でも死に至るというAOKの分泌物がどれだけ体内に入っても拒否反応を示さない。

これは劣勢に立たされている人類にとって、大きなアドバンテージを得たといえた。

国連軍は徴兵検査の際、同時にこの分泌物に耐えられる『完全抗体』の持ち主を調査するよう指示。

以降、徴兵検査の後に一般の部隊に召集される場合は赤い召集令状、通称『赤紙』が、完全抗体を持つ者に対しては訓練分隊に召集される専用の令状、通称『青紙』が届くようになった。

一般市民はこの『青紙』を最前線に送り込まれる不吉な報せとして恐れ、忌み嫌った。

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