alternative
2008年7月初頭。

時期外れの台風が上陸したこの年、遂に恐れていた事態が起きる。

喀什から東進してきたAOKが北九州に上陸したのだ。

台風上陸が重なった事も災いした。

「お父さん!お母さん!どこぉっ!?」

豪雨の中、びしょ濡れになって両親を探すのは、当時15歳だった香月 奈々(こうづき なな)。

国連軍の誘導による避難の最中、家族とはぐれてしまったのだ。

茶髪のツインテールが雨に濡れて頬に張り付くのも構わず、奈々は必死に両親達を探す。

避難民で溢れかえる国道、人波に逆らって歩くのは困難を極める。

その時。

「ぎゃあぁぁああぁぁっ!」

突如マンホールの重い鉄蓋を吹き飛ばして、地下からAOKが数体出現。

彼らは目に付いた人間を、兵士、一般市民を問わず食らい、虐殺する。

その毒牙にかかった人々の中に。

「う…そ…!」

奈々の父、そして母の姿もあった。

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