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2010年 運命の刃

「ちょっと!ちょっと来なさい!」

親代わりの施設の先生が、慌てたように呼ぶ。

何だろう。

また台所にゴキブリでも出たのだろうか。

咲月 晴(さきづき せい)はそんな事を思いながら、呑気に階段を下りた。

戦災孤児や身寄りのない子供を預かる施設。

物心ついた頃からここで暮らしている晴にとって、先生の事は何でもわかる。

大袈裟に騒ぐけど、実際に確認してみたら、意外と大した事ではない事が多いのだ。

だから別段急ぐでもなく、蒼い髪を揺らしながら歩く。

…先生は施設の玄関にいた。

「どうしたの、先生」

晴はそもそも無口だ。

会話も簡潔に済ませる事が多い。

「これ…」

青ざめた顔で晴を見つめる先生。

その手には。

「!」

青ざめた先生の顔よりも、晴の蒼い髪よりも青い紙…『青紙』が握られていた…。

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