alternative
「いやなに…お前を笑った訳ではないのだ。お前の言い分にも一理あると思ってな」

時雨は腕を組む。

「しかし、お前くらいの歳になると全ての国民は徴兵される。孤児だからと特別扱いは許されない」

「いやだ!」

「そう言うと思っていた。そこでだ」

時雨は更に一歩前に出る。

「どうせお前のようなガキ大将は、口で言っても納得しないだろう。私と一勝負しないか。その腰に下げているナイフを抜いても構わん。私に勝てたら、徴兵は免除してやる」

「し、少佐!」

周囲で聞いていた兵士達がどよめくが、時雨は一度口にした事を撤回はしない。

「ほんとか?」

皓が八重歯を覗かせてニヤリと笑う。

腕っぷし比べならば負ける気はしなかった。

ましてや相手は軍人とはいえ女。

尚更負ける筈がない。

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