alternative
「さぁ」

腕を組んだまま、時雨が皓を促す。

…無言のまま、腰に下げたナイフへと手を近づける皓。

しかし次の瞬間に彼が掴んだのは。

「!」

ナイフではなく、同様に腰に下げていた荒縄!

それを素早く鞭のように操って時雨を絡めとり、俊敏な動きで彼女を雁字搦めにする!

(ほぅ…!)

その動き、縄術、人間相手にナイフを抜かないという心構え。

どれもが時雨に目を見張らせた。

この年齢でここまでの技術。

余程厳しい生活を強いられてきたか…。

それも我ら軍人が、AOKどもに遅れを取ったが故…。

目を閉じ、皓に申し訳なささえ感じる。

「どうだ、勝負ありだろ?」

緊縛された時雨を見て、誇らしげに鼻の下を擦る皓。

しかし。

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