alternative
月面の地表に、やや屈んだような姿勢で不動だった生命体。

そいつが首だけを調査チームの方に向けたのだ。

ちょうどカメラ目線の形。

まるで自分がその生命体に凝視されているような気がして、ジムは思わず鳥肌が立った。

「調査チーム、近づいてきているのか?」

『いや…こっちを見ているだけだ…動く気配はない』

言いつつも、調査チームの声は震えていた。

「調査チーム、もういい。月面基地に引き返せ。そのまま地球への帰還準備を開始してくれ」

特に理由があった訳ではない。

ただ本能的に。

ジムは調査チームに指示を出す。

どのみち本日彼らは帰還予定だったのだ。

無理に長居する必要もない。

『いや、もう少しだけ…』

知的好奇心からだろうか。

調査チームはジムの指示をすぐには聞かず、カメラを傾ける。

その時だった。

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