alternative
『――――――――――――!』

モニターの中で生命体が虚空を仰ぎ、咆哮した。

狼が遠吠えするような光景。

何より空気のない宇宙空間で聞こえない筈の甲高い咆哮が、ヘッドセット越しにジムにも聞こえたような気がした。

その咆哮が何を意味するものなのか。

威嚇か。

挨拶なのか。

それとも…。

考える間もなく。

『な…わっ!』

調査チームの面々が声を上げる。

同時にモニター画面に次々と割り込んでくる白い影。

長い尻尾がしなるのが見えた。

その事からジムは理解する。

あの生命体は、調査チームが観察していた一体だけではない。

既に月面は、あの生命体…AOKの支配下に置かれていたのだ。

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