alternative
和気藹々とした朝食がすすむ中。

「流石に時雨教官は来ないね」

奈々が少し残念そうに言う。

「まぁ上官の立場だからな。そうそう情に流される訳にはいかないさ」

綾斗が呟いた。

「そうだな…あれで時雨教官も色々と気を遣っていると思うよ。晴の処分が営倉入りだけで済んだのも、もしかしたら裏で骨を折ってくれたのかもしれない」

ラルフが器用に箸で煮豆を摘んで口に入れた。

「そうか…」

晴が俯く。

仲間の死を見たくない。

そう思って脱走した晴だったが、それは逆に言えば仲間を見捨ててしまう事でもあったのだ。

自分の軽率さ、浅はかさに今更ながら後悔する。

そんな自分をも見限らず、庇ってくれた時雨と仲間達。

「みんな…本当に…」

「湿っぽい事言うなら、晴のこの焼き魚もいただきっ!」

皓が晴の皿から焼き魚を奪った。

< 97 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop