君の声を聴かせて
「はい。」


そう返事をすると、蓮沼くんはその場に起立し、続きを読み始める。



「『野島は杉子とは殆んど話をしなかった。杉子が芝居を感心して見ているらしいのに不愉快を感じた。しかし…』」




率直な感想。

聞きやすかった。

つまづきながら読む子が多いのに、蓮沼くんはつまづくコトなくスラスラと読んでいく。
それにこの位の男の子って、変に恥ずかしがってわざとふざけながら読んだりするのに、蓮沼くんは違う。

声の大きさも、間の取り方も、まるで作者の気持ちを代弁してるみたい。
話の中に、引き込まれる。




それに。


この感覚。



なんだろう。

前にもあったような…。

どこだっけ?
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