君の声を聴かせて
うーん…。

思い出せないなぁ。



でも、心地いいな。

この声聴いていると、安心する。
まるで、お母さんが歌う赤ちゃんの子守歌みたい。



まだ、聴いていたい。



声…。


声…。


声っ!?




「先生…?俺、どこまで読めばいいんですか?」


「えっ?」



困った蓮沼くんの声と、ざわつき始めた教室。



教卓の前の席の、窪田さんと目が合った。

「今どこ?」


「26ページですよ。」


小声で聞いたから、窪田さんも小声で返してくれた。

といっても、この状況じゃ意味ないかも。

それにこのセリフ。


どっちが教師と生徒なのか…。



情けない。
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