君の声を聴かせて
話相手は、橘潤。

私と同じ、今年採用されたばかりの新米教師。
ちなみに担当は数学。


“桃ちゃん”

なんて呼んでるのは、彼氏なワケではなく。
同じ大学出身で、サークルも一緒だったから。


おまけに赴任先まで一緒だなんて。

ある意味、笑えるかも。


「実はさぁ…。」


潤くんに、さっきの授業中の出来事を話した。


私が蓮沼くんの声に聴き入ってしまったっていうコトは伏せて。



「桃ちゃんらしいっていうか…気の毒だな、蓮沼。」



潤くんが笑いをこらえながら喋ってる。


「笑い事じゃないってばっ!」



つい大きな声をだしてしまった。


その声に反応して、数人の先生が私たちを見る。
< 21 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop