君の声を聴かせて
「「なっ、なんでもありません。」」


私と潤くんの作り笑顔と声が重なる。



そして再度、小さな声で。



「とりあえず、早くとこ蓮沼に謝っといたら?アイツ素直でいいヤツよ。誤解されたまんまじゃ、桃ちゃんも嫌だろ?」


「うん…。」




『蓮沼 響』

特に良くも悪くも目立つ生徒ではなく、正直私の中では印象が薄かった…と思う。


それなのに。

あのトキ。


私の聴覚は、彼に集中していた。

それから、私の中でこんなにも『蓮沼 響』が特別な存在になるなんて。

その理由を私が口にするのは、その日の放課後。
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