君の声を聴かせて
「蓮沼くんは、小説とか読む?」


「え?…まぁ、少しは。」


「私ね、この小説読んで“愛してる”っていう言葉が特別になったの。だから、本当に好きな人にしか言わないって、決めてるんだ。」



何も言わず、私の話しを聞いててくれる。

声もだけど…、そんなにじっと見つめられたら、こっちまで照れちゃうじゃん。




「だっ、だからね。蓮沼くんに大切な人がいたら、言ってあげるといいよ。絶対喜ぶから。」



くくっ。
蓮沼くんの口から、小さな笑い声が聞こえてきた。

「それって、先生だけじゃないの?でもまぁ、試す価値あるかな?」




あ。
いつもの蓮沼くんに戻った。
照れてる蓮沼くんも可愛かったのに。
もう少し見たかったなぁ〜。


って、
私なに思ってんだろ…。



「ねぇ、先生。ついでっていうか、俺もお願いがあるんだけど、いいかな?」



蓮沼くんの口から出た“お願い”。



それは―――――。
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