君に永遠の初恋を。
お隣さんは泥棒。

不可解な感情

あれから、私の隣りに江川朔夜が引っ越して来た。

最後まで遠慮していたけれど、契約した後ということで強制的に入れさせた。

何だか悲しそうな顔、していたから。

本当は既に契約決まっていたんだけれど、やめた。

そして今私はいそいそと朝飯を用意していたりする。

江川朔夜の料理は、はっきり言ってマズい。

白米が辛かったのが一番の衝撃だった。

そんな江川朔夜の為に朝と夜は私が用意いている。

少し前ならありえなかったこと。

誰かと話して、親切にするなんて私らしくない。

誰とも関わらずにいた数週間前の私はどこにもいなかった。

調子狂うな…


「できた?」

「…ん。今、持ってく」

ベランダ越しに聞こえた声にそう返した。

…こんな日常も悪くないと思っている私は本当、どうかしてしまったのか。

それに、江川朔夜の笑顔を見ると、笑ってしまいそうになる。

この、不可解な感情は、何?

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