君に永遠の初恋を。
「どこ、行こうとしてんの」

「…っ」

こいつは超能力か何かでも持っているに違いない。

そうでなかったら、こんなにタイミングよく現れるはずがない。

「勝手にどっか行こうなんて、考えるな」

「…バレバレってわけか。江川朔夜には」

一番会いたくて、一番会いたくないひと。

今だって、一度も揺らいだことのない気持ちが傾いている。

ここに、いたいと。

心が叫んでいる。

「全部、話せよ。納得できないから」

「…わかった。その辺の喫茶店にでも行く?部屋、何もないから」

本当は何も言わずに行きたかったけれど。

全て言ってしまってから、消えるのも悪くはない。

江川朔夜が呆然としている間に、逃げてしまえばいい。

江川朔夜が頷いたのを確認して、一番近い喫茶店に向かった。

今頃、学校はまだ盛り上がっているだろう。

制服姿の私たちは周りの視線を感じながら、喫茶店に入った。

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