君に永遠の初恋を。
すっかり顔見知りになったマスターに会釈して、いつも座るテーブルで本を開いた。

1ページに書かれていたのは、短い詩だった。

「夜空に浮かぶ朔月のような君に捧ぐ
君への想いを消せずに、まだ私はあの日を思い出す。
だから私は。
この本と共に捧ぐ。
君に永遠の初恋を」

涙が、こぼれた。

夜空に浮かぶ朔月の意味が、わかってしまったから。

「…俺の…名前…」

同姓同名なんかじゃない。

これを書いたのは、一ノ瀬だ…

「両想い、じゃねーか…」

10年越しの告白は、俺をあの日から進めてくれるような気がした。

…一ノ瀬がそう言うのなら。

俺は、これからも、永遠に。

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