cafe diacre
――――三日前の学校
「ねぇねぇ、尊。このあと暇だったら、ちょっと、つき合って!」
その日の授業も終わり、部活も休みだったから早く帰ろうと帰り仕度をしていると、両手を合わせて頭を下げる友達の姿が隣にあった。
大きな瞳に、高めの位置で結われたフワフワのツインテール。
一見じゃ高校生に見えないこの子は科沢 碧(シナサワ ミドリ)。
小学校の入学当日に知り合い、かれこれ十年以上の付き合いになる。今じゃ一番仲の良い親友だ。
私は“単に暇だから”という本音を隠し、友達からの頼み事を断れるはずがない! と話を受けた。
「別にいいよ。で、何を?」
私が承諾するやいなや、碧はパッと顔を上げ、眩しいほどの満面の笑顔を向けた。
「ありがとっ!! 今日は、部活がないって言ってたもんね、尊ならそう言ってくれるって思ってたよ! ちょっと、一人でってのは流石に緊張するからさ」
頬を少し赤らめ、はにかむ碧。
部活が無ければ暇人だとでも思われてるのかと少しショックを受けつつも、碧のこの笑顔を見て嫌な予感が一瞬だけ私の脳裏を過った。