2段ベット。
…その日の夜、
「へー、結構イケメンじゃない♪柚姫ちゃんの彼氏。」
お兄ちゃん達が酔っ払って騒いでる隙に別の部屋に抜け出したあたしとアキナちゃんはガールズトークの真っ最中。
今は、この前撮った亮一との写真を見せているところ。
「柚姫ちゃんは幸せ者ねー。」
そう言ったアキナちゃんの顔にはなんとなく切なさが見えた。
「アキナちゃんだって、お兄ちゃんがいるじゃん!!」
アキナちゃんは一瞬曇った表情をしたけど、すぐに笑顔でこう言った。
「そうね、トモがいるもんね。」
しばらくして、
色々話しているうちに酔っ払い組がやって来た。
「アキナー、俺こいつらを駅まで送ってくけどお前も帰るか?」
呂律が回ってないような声でお兄ちゃんが聞く。
「うん、アキナ明日仕事だしそろそろ帰ろっかな。」
「じゃあ玄関の外で待ってるから、早く来いよ。」
そう言ってお兄ちゃんはデロンデロンに酔っぱらった2人を連れて外にでた。
「ゆずひめちゃーん!!また来るでなー!!!!」
「まったねー♪」
途中2人の声が聞こえてきた。
どんだけ飲んだんだろう…。
あのRainbowをこんなに変えてしまうお酒ってすごい…
「じゃあ柚姫ちゃん、またね。」
「うん、また来てね!!」
いつものようにバイバイするあたしとアキナちゃん。
…のはずだった。
ドアノブに手をかけたアキナちゃんが最後にボソッと呟いた。
「…トモはあたしのこと、好きじゃないの。好きな人がいるみたいよ。」
え?
「でもアキナ、本気でトモのこと大好きだから…」
あたしを睨み付けるように振り返ったアキナちゃん。
いつもと違うアキナちゃんが怖い。
「柚姫ちゃん、覚悟しといてね…」