毒舌先輩とあたしの秘密。

出会ったあの子と幼馴染



「・・・おいっ、起きろ恵っ」
「ぐう・・・」


「・・・起きねーと・・・」
「あ、はい。起きました」
「・・・っっち」


今かすかに舌打ちしましたよね大樹さん。


「もう5時だ。さすがにもう現れねーだろ。帰るか」
「ん・・・」

帰ろうと立ち上がろうとすると・・・


「・・・あ、これ・・・」


大樹の制服があたしの膝に掛けてあった。


「これ・・・」
「・・・べ、別に深い意味はねぇよ。暑かっただけだ」
「・・・」


大樹の耳が赤いことから嘘だとわかる。

気遣ってくれることが妙にうれしい。


「・・・ありがと」
「・・・いいよ別に。俺がしたかっただけだし」


これからも大樹はずっとずーっとあたしの大切な幼馴染だから・・・。


だから・・・。



「帰ろうか」
「うん」


自然に伸ばした手に甘えさせてください。


ぎゅっ・・・。



「・・・タイヤキでも買ってく?」
「おごってくれるんなら」
「あーでも俺大判焼きのほうが・・・」
「両方買おうか、あたしはタイヤキ買って大樹は大判焼き。あとで変えっこしよう」
「・・・待ってました」


にやっと笑う大樹は完全に悪い顔。

・・・まさか。図ってなんかないよねうん。

< 17 / 20 >

この作品をシェア

pagetop