Circus
 そして、その予感は的中した。僕達人類は手を出してはならない領域に触れようとしていた。最初は、”X”の駆除で傷ついた機関員達の手当てをする医師が足りないために、医療の経験を持つ者を探していたと聞かされ連れてこられた。しばらくは、彼らの手当てをするための医療部門に所属した。しかし、誰が僕の経歴を見て判断したのか、一ヶ月がたってまもなく配属された場所は、全く想像のつかない隔離された研究所だった。僕はまた、事態が判らぬままにそこに連れてこられた。そしてまた全てが淡々と説明され、細かい事を理解するまもなく、分厚い資料と仕事の現場を紹介された。それは信じがたい内容だったが、拒否する選択肢など無いことはすぐに解った。僕は自殺した彼より利口だったのか、いや、こういう閉塞された空間に慣れているからだろうか、流されるままに従った。これはまだ入り口に過ぎないのかもしれない。

 そして僕は以前のように自分を殺し、ここに居る。
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