スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-
点呼は班長の役目、
私達のクラスはなんとなくこの辺りに集まっていて、
次々と全員そろった班からバスへ向かって歩き出している。
なのに……
「うちは班長が来ないねー」
紗依ちゃんが手のひらで敬礼するように校門の方を見渡す。
……稜佑ー!!
「まぁなんか想像はついたよね」
苦笑いで重たそうにリュックからしおりを取り出して美奈ちゃんは言った。
「8時30分出発ってあるけど、もう20分だ」
女子全員がため息をついていると、
「ごめん!俺ら以外全員いる?」
珍しく少し髪のはねてる伊東くんが駆け足で
私達の前までやってきた。
実はさっきから少しだけ離れたところで
本を読みながら棒立ちしてる水野くんを見つけていて、
伊東くんが左手で多分ギリギリになった原因の奴を引っ張っているのを確認してこたえた。
「うん、これで揃いました」
それを聞いた『班長』は
「よぉーし、バス乗るべ!」
と謝りもせずにバスへと向かい、
「ごめん」
と少し汗をかいていて、
いかにも急いでくれたとわかる伊東くんは待っていた私達に申し訳なさそうに謝った。
「いやいや、遅刻じゃないんだし、気にしないで!
ねっ、茜!」
美奈ちゃんは今回の研修で
伊東くんと茜ちゃんを近づけようと相当必死だ。
「う、うん!気にしないで楽しもうね!」
茜ちゃんもまんざらじゃなさそう。
私はその様子を見ながらも
自分もバスへと歩き出した。