スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-
あの日、
私の言葉で稜佑を
傷つけてしまったみたいだとわかったのは
その次の日のことだった。
確実に目が合ったのに無視されたのは初めてで、
その日から稜佑は常に女子と行動をともにしていた。
もうきっと完全に飽きたのかな、私には。
当初、からかわれているだけだと理解していた脳は
いつの間にか友達とでも
稜佑のことを認識していたのかもしれない。
全く話さなくなって
胸が苦しくなった。
自分の感情をコントロールできないことが
こんなに辛いなんて。
見たくないのに目をやって、
女子と楽しそうに絡む稜佑の姿に
毎回えぐられるような痛みを感じるんだ。
「トイレ、行ってくるね」
昼食を食べ終わって
昼休みも後15分。
教室の開いたドアから見える稜佑たちが辛くて、
反対のドアから、
少し落ち着くところに行きたいな……。
そう思って階段を降りていると、
「山田さんっ!」
名前が呼ばれて振り向く。
上を見上げると、踊り場には
「……伊東くん?」