スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-
茜は見たことないような、
不安そうな顔をしている。
「あ、茜っ!」
何もやましいことなんてないのに、
つい声が上ずってしまう。
「もうチャイム鳴るし、急ごう。
立川さんも」
事情がよくわからないような顔で
伊東くんは私たちに教室へ戻ることを促した。
「う、うん」
「……うん」
無言のまま教室へ戻る足音3つ。
どうしよう、
茜何か勘違いしてるのかな、
怒ってるのかな。
胃がキリっと痛んだのがわかった。
ああ、そうか、
もうキャパオーバーだよ。
稜佑への感情、稜佑自身の感情、
誤解させてしまっていること、
伊東くんの言葉の意味、
美奈や茜の感情。
ああ、もう、
――気持ち悪い。