スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-
もうダメだ、
埒明かない。
「とりあえず、お断りなんで……」
何を言っても通じないと思って
教室に帰ろうとして、
「じゃあほら、連絡先だけでもさっ」
手首を掴まれ足が止まる。
その瞬間体に悪寒が走る。
「嫌っ!!」
手を思いっきり振って離れる。
「……は?」
相手は急に冷たい視線を私に向ける。
ああ、どうしよう、怖い。
いつもなら、
こんな時、
アイツが――
「行こう」
さっきとは反対の手が優しく引っ張られた。
「おいっ、何?お前!ちょっ――」
後ろで声を上げるその人たちが遠ざかっていく。
「…………ごめん」
私に背中を向ける彼に声をかける。
「大丈夫?山田さん」
「うん、平気。
ありがとう、水野くん」