スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-
「では、失礼します……」
私をきっと睨むと、
スカートをひるがえしてすたすたと歩いていってしまった。
「大体想像つくけど、
山田さん大丈夫?」
私を苦笑いで見下ろす彼は
呆れたように
ため息をはいた。
「ちょっと歪んだ性格の持ち主でね。
まあ育った環境が悪いんだけど」
そういえばあの子、
稜祐と自分は『腹違い』だって。
「俺は小さい頃から稜佑とは近所で仲良かったけど、
それでもあいつが小さかった頃負った闇は
まだあいつのなかに蔓延っているんだ。
その原因のひとつが、彼女」
伊東くんは
麗佳さんの消えた方を鋭く見据える。
「まあ彼女が悪い、というのは違うけどね。
山田さん、あいつから昔の話とか聞いてない?」
稜佑の過去?
「聞いてない」
「そっか」
伊東くんにはそう言ったけど、
そういえば
話してるとき節々に
昔何かあったのかな、なんて思うようなことはあったな。