スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-


「じゃあ、ここに置いておいてくれていいから」

担任はそう言うと、席に座って、
ノートパソコンを開いた。


「はい」

そういって、
先生が置いた書類の上にさらに自分が持っていた書類を置いた。


「引きとめて悪かったな、ありがとう。気をつけて帰れよ」


先生は、何気なく言った言葉だったのかもしれないけど、

久しくそんな優しい言葉を誰からもかけられてなかったせいか、

少しだけ目が潤んでしまった。


それを誤魔化すように

「はい、さようなら」

と言って、職員室を後にする。


さっき来た道を帰りながら、とぼとぼと教室へ戻る。


ほんの少し面倒な頼まれ事だったけど、

みんなが帰るときに教室にいなくていいのは助かった。


放課後に遊ぶ相手もいないし、
どうせ家に帰ってもすることはないし。

クラスの誰に「ばいばい」と言うこともなく、
家まで1人で帰る私。


「今日どこ行く?」とか「じゃあ明日ね!」

とかいうクラスメイトの声を聞きながら帰るのは、

正直結構キツかったりする。


まぁ友達が出来ないのは自分がいけないんだけど……。


と、自暴自棄になりつつも、教室への足を進めた。


荷物、持ってきてればそのまま帰れたなぁ。

なんて思いながら、階段を上っていった。



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