やどぬし様

振り回される休日


―――次の日

慣れと言うのは恐ろしいモノである。たった12時間ほど一緒に過ごしただけでコイツの存在に違和感がなくなってしまった。

初めから花人間という存在は否定しなかったしロリコンでもなかったものの、それでも健全(?)な男子の元に多少(?)変な女の子がいるのだから生活リズムが崩れるはずだ。

だが、ツカサはいつも通りの朝を向かえ、これから新しい習慣になるだろう自作の鉢植え(ヒガンバナ入り)に挨拶をするなどという行動を違和感なくやった。

自分の慣れの速さ、というか単純な性格に自己嫌悪する。ツカサはこういう人間だ。


「お早いですねヌシ様ぁ」

と鉢から顔だけ覗かせるのは居候暦一日の少女である。

この光景、ある意味不気味だ。

「ああ、今日も学校だからな」

面倒臭そうに溜め息を吐きながら朝食のパンをオーブンに入れ、顔だけ出してる少女の鉢を流し場に持って行き底面給水(鉢の底から水分を土に含ませる方法)してやる。

「じゃあ私もガッコーに行きますです!」

「ダメ」

即答で否定する。

「ケチですぅ」

プクーッと頬を膨らませて文句を言ってきた。
なんか、餅みたいだ。

とはいえ、コイツの生活環境の適応の速さも自分に負けず劣らず速い。
一応言うが、コイツとはまだ一日しか暮らしていない。

朝からそんなやり取りをしていると携帯から着信音が鳴った。

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