やどぬし様

電話はミヤオからだった。

「どーした?こんな朝から。彼女にでも振られたか?」

『…馬鹿、学校の連絡網だ』

相変わらずボケもツッコミもない奴。まぁ、そんな真面目な所がミヤオの良い所なのだが。

「で、なんだって?」

『欠席連絡が多いから今日も休校にするってさ』

「……そうか、ミヤオお前は大丈夫なのか?」

「いや、それが昨日の朝から体が重くて。なんだか【生きる力】を吸い取られたような感じなんだ」

その瞬間、全校生徒一斉の欠席は呑気にくつろいでる植物少女が原因だと確信した。

「そ、そうか、まぁ体は大事にしろよな。じゃぁな。…それと、わりぃ」

「……?あぁ、ツカサも気をつけろよ」

ピッ……

……なんだか罪悪感を感じて思わず謝ってしまった。もともと原因はコイツを持ってきちまった俺にあるわけだし。

まぁ、そんなことより今日も休みか…。となると今日は一日ヒマになるな。

「なんだったのですか?」

主原因の植物少女はなにかを察知したらしく笑顔満開で聞いて来やがった。

「今日も休みだそうだ…」

お前のおかげでな、と言おうと思ったがやめる。

「なら、外にいきましょう!」

「………だりぃ」

「駄目ですよぉヌシ様!人も植物もお天道様の光を浴びなきゃ謙光性植物になっちゃいますよぉ!」

「ならねぇよ!つか、わけの分からん専門用語を使うな!」

「日の光を浴びることによって体内の葉緑素であるクロロフィルが水と二酸化酸素から糖と酸素を造るのですぅ!」

「俺に葉緑素なんかねぇ!!」

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