やどぬし様
道の途中、ツカサは変な視線を感じていた。
そう、まるで穴が空きそうなくらい強い視線を。

……………バッ!!

後ろを振り返る、が人の姿は無かった。

……おかしい
確かに視線を感じるんだが。

その後、たまに後ろを振り向くが、やはり人影すら見えなかった。


というか………、登校中に誰の人影すら見えないと言う意味が分かるか?誰もというのはさっきから恐い視線を送っている不審者だけではない。登校するはずの他の生徒とすら合わなかった。
一体どうしたって言うんだよ?

ツカサは不安を抱きながら学校へと向かう。


怯えと不安を交えながらの登校を終えて学校に着くと、そこはさらにひどい状況になていた。

『えー、今日は貧血による欠席者が多い為、学校を閉鎖します。登校した生徒は貧血に気を付けながら下校しましょう』

校内放送が教室に響く。

まぁ、なんつーか、あれだ。いくら欠席者が多いと言っても…

「登校したの俺だけって、どうよ?」

クセである独り言が誰もいない教室に響き渡った。

出席者、全校生徒合わせて一名である。


何もすることが無いので満腹食堂で少し早い昼飯を食べようと思い歩きだす。

…が、すぐに足を止めた。

昨日まであんなに元気だったクラスメイトが全員いきなり原因不明の貧血を起こしたぐらいだ。もしかした満腹食堂の主人やチヅルさんも……

そう考え、満腹食堂に行くのを止め、自分のアパートに帰ることにした。


途中、今朝の不思議な視線は感じなかった。が、やはり、通行人はおろか車一台ともすれ違わなかった。

ホント、一体どうしたって言うんだよ

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