やどぬし様
アパートに着いた。晴れ空に蝉の声がよく響く。
結局、今日は誰とも合わずに終わってしまうのか。

「なんか、寂し…」

一人暮らしのマイナス面に気付いた瞬間だった。

あ゙〜、クソ、同居人が欲しぃなぁ!出来れば可愛い子。

などと非現実的なダメ人間っぽいことを考える。ため息を吐きながら部屋のドアを開けた。

部屋の中はさらに暑く、無駄だと分かっている換気をすべく窓へと近づこうと歩く。
すると…

ガッ!ズダンッ!

何かにつまずいた。

イッテェ〜、おかしいなぁ、部屋ん中は片付いているはずなのに?

見ると卓袱台の下から人の足が出ていた。

「……………は?」

それは大きさからして子供足で、よくよく見ると白い髪のようなものも見えていた。

ツカサは、コイツは何故ここにいる?という問題よりも、うわぁ、髪ぃ白いなぁ…。という感想のほうが大きく、しばらく茫然とその子供を見ていた。

「…ふみゃ……ふぬぅ……」

可愛らしい寝言が聞こえてくる。

「……にぁ……ん…ん…?」

不意に目と目が合う。

「……ハッ、はわぁ!」

ゴンッ!!

「ッつぅぅぅ………」

その拍子に白髪の子供は卓袱台に頭をぶつけ、一人で悶え苦しんでいた。

なんだコイツ…

ツカサもようやく自我を取り戻す。

「い、痛いです」

ノコノコと卓袱台の下から這い出てくる子供は可愛い顔立ちに少し涙目を浮かべ、肩まで延びた白い髪とやたらと延びた一束の髪らしきモノ(?)を揺らしながら頭を押さえていた。

「いや、まぁ、そんなことより…」

ポリポリとうなじの辺りを掻き、子供(というか、あきらかに少女)を見て言う。

「お前、誰だよ? 」

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