やどぬし様
すると少女は痛そうにしていた顔を満面の笑みに変えて答えた。
「あ、はい!私はですねぇ。信じてもらえるかわからないですが、一応答えます!実は、私、花なんです!」
普通の人間だったらここで、頭大丈夫ですか?とか、ふざけんなバカ!とか言うだろうが、ツカサは違った。
「へぇ…、何の花だ?」
疑うどころか花の種類を聞いたのである。
まぁ、本人がそうって言ってんだから別に疑う必要ないだろ
ツカサはそう言う人間だった。
「花の種類ですか?そうですねぇ…、彼岸花って言うんですけど、知ってます?秋から冬にかけて川沿いの土手とかに生えてますよ。ほら紅いヤツです」
彼岸花と言われて分かった。この辺も秋になれば咲いていた気がする。
まぁ、んなことより問題なのは
「その彼岸花人間が、なぁんでココにいるんだ?つか、どうやって入った!住居不法侵入で訴えるぞ!」
花人間だと言うところは信じても、言うところはしっかりと言う荒柿だった。
出るときにはしっかり鍵を閉めたし、入ったときには確かに鍵はかかっていた。
真剣な顔になるツカサに対し彼岸花人間は笑顔のままだった。
「忘れたんですか?昨日、私をこの部屋に連れ込んだのはあなたですよ」
昨日?
部屋に連れ込んだ?
俺が?
まったく記憶になかった。というか、いくら植物とは言え、こんな可愛い子を部屋に連れ込むなんて出来ません!
だが、昨日の夜からの記憶が少し曖昧だったことを思い出す。
「…え?ホントに覚えてないのですか?私の寝床を作ってくれたりとか…」
やめてくれ!変な誤解が生まれる。
ツカサは頭を押さえ病院に行くべきか真剣に考えていた