最 恐 暴 君







「なっちゃん!!クレープ食べに行こっ」



あ、そんな約束してたっけ。

なんて思いながら立ち上がった。




「うん。行こっか」














鞄を手にとって理奈と教室をでた。








「今日の自習はつまらなかったー…なっちゃんは寝てるし、クラスのみんなはなんだかザワザワしてたし」




廊下を歩いている途中、ほっぺたを膨らませて理奈がそう言ってきた。




「…ザワザワ?なんかあったの?」




「えっと…魁さんがどーのこーのとか言って皆騒いでた。…良く聞こえなかったんだけどね」







魁…?
かい…?
貝…?





そう言えば私が眠りにつく前にもそんなこと言ってた気がする。





みんな、そんなに貝が食べたいのか?







「…私は貝よりクレープのがいいな」







そんなことをボソッと言うと理奈が急に


「あ!あの魁さんの話だったんだ!やっと分かっよなっちゃん!!今日、久しぶりに魁さんが学校にきたから皆騒いでたんだ!!」

となんだか意味不明なことを言い出した。










「…貝さん?それって人間なの?」





首を傾げて理奈に問いかける。



すると理奈は


「え?魁さんだよ魁さん!あの魁さん!…まさか知らないとか言わないよね…?」


と興奮気味に言った。









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