ズルい-蓮井side-
別に、風邪を引いた訳じゃないから、顔がポカポカしても、熱なんてなくて、眠気なんて全くないのに、あたしはベッドに向かわされた。
二人きりの慣れない家に緊張して、眠れる筈なんてないのに。
次の日、
勿論体調なんて悪くないあたしを、司さんは心配してくれて、朝ご飯まで用意してくれた。
「俺、お粥とか嫌いだから。作れねーけど。おまえ、食いたいか?」
ドア越しに素っ気なく響く声。
「う、ううん。普通のでいい」
声、震えなかったかな。
「あっそ」
全く、何も意識しない司さんに、あたし一人ヤキモキする。
ご飯だって、基本的にあまり胃に入らないあたしを、思い切り眉を潜めて、
「だからそんな細っころいのか」
とブツブツ言っていた。