アイシテル
「――あなた…」

母が小さな声で呟いた。

勘違いしている。

間違っている。

母は、私と亡くなった父を勘違いしている。

私は父とよく似ていた。

母は、私を父と勘違いしている。

「――お母さん、やめて…!」

私の叫び声は消えてしまった。

「――いやあっ…!」

私は襲われた。

母に、襲われた。


目が覚めたら、無残な姿だった。

足にこびりついた血が汚かったことを、今でも覚えている。
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