アイシテル
「無事にあなたを産むことができても、私たちは彼女を許すことができなかった。

聖子さんは、私たちが望んだ相手じゃなかったから。

どう言う手を使えば、冬海さんは私たちが望んだ相手と結婚してくれるか。

私たちが思いついたこと、それは――聖子さんを殺すことだった」

ズンと、僕の胸にその言葉が重くのしかかった。

おば様たちは、父に自分たちが選んだ相手と結婚して欲しいと望んでいた。

でも父は彼女たちの反対を押し切って、母と結婚した。

僕が産まれても、彼女たちのその気持ちは変わらなかった。

自分たちが望んだ相手じゃない。

自分たちが選んだ相手じゃない。

そして、思いついた方法が1つあった。

それが、母を殺すことだった。
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