アイシテル
とある総合病院の産婦人科の診察室に、僕たちは通された。

「おめでとうございます」

女医が僕たちに言った。

理由はよくわからないが、僕たちはここに通された。

診察の結果、この状況である。

「あの、何がですか…?」

僕は聞いた。

お祝いの言葉をかけられた理由がよくわからない。

女医はニコッと笑うと、
「彼女、妊娠してます」

そう言って、聖に視線を向けた。

――妊娠…?

つまり、子供ができたと言うことである。

聖と最後にしたのは、あの日である。

彼女が自分の過去を話したあの夜のことである。
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