アイシテル
聖を抱いた。

聖と抱きあった。

それだけで、僕は嬉しくて死にそうになった。

聖も同じ気持ちだったこと。

同じ気持ちで、僕を思ってくれたこと。

何と言う幸せなことなのだろう。

「――聖…」

風邪をひかないように、そっと聖の躰にタオルをかけた。

聖を抱きあげると、バスルームを後にした。

途中で、僕のスーツが目についた。

たっぷりと水を含んだそれは、もはや紙くずみたいだった。

明日から使いものにならないな。
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