アイシテル
寝室に行くと、ベッドのうえに聖を置いた。

「――んっ…」

聖が目を開けた。

「――春ちゃん…」

聖が僕の名前を呼んだ。

さっきまでの“春海”ではなかったことに、僕は少し落胆を感じた。

さっきまでの出来事は、僕が見た都合のいい夢だったのだろうか?

「――聖」

彼女の濡れた髪に手を伸ばすと、なぞるようにそれをなでた。

「春ちゃん」

「何だ?」

「本当だって、受け取ってもいいの?」

突然そんなことを言った聖に、僕は首を傾げた。
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