アイシテル
僕らが過ごした10年と言う時間は、決して壊れることなどない。

「食べる?」

聖が言った。

「ん、じゃあ食べさせてくれ」

僕はそれに答えるように、両手を広げた。

両手を広げると言うこの動作は、聖だからわかることである。

聖はためらうことなく、開いている僕の足の間に右足を乗せた。

その瞬間、僕は聖と向かいあう体勢になった。

聖に見下ろされたのと同時に、僕は彼女の腰に右手を回した。

「どうぞ」

僕が言うと、聖はスプーンでジャムをすくった。

ジャムが、僕の口元に運ばれる。

ピーンポーン
< 68 / 178 >

この作品をシェア

pagetop