ボクと天使と青春中
“キレイ”だなんて、ふと思ってしまう。

にしても、入学当時の天使のような少女がどうやったらあんな凶暴女になるんだ?

唯一、あの時の姿と重なるのは弓道をやってるときだ。本当に綺麗だ。

あっ!鈴と目が合った。

「何してんの?」

「見て分かんない?自主練よ」

鈴は口を尖らせて言った。

「ふ~ん。ストレス解消にやっていい訳?」

「“自主練”って言ってんでしょ!!大会が近いの」

鈴は、少し不安そうに言った。

なんで、そんな不安そうな顔してるんだ?

鈴は一年生にして、大会で優勝しまくっていた。なのに、なんで。

「何、そんな顔してんだよ」

「えっ?」

鈴はちょっと驚いた顔をしている。

「不安そうな顔してる」

「・・・アタシだって、大会前は不安になるよ。」

そういうもんなのか?

「あんた、応援の言葉一つ掛けられないの?」

「えっ?あ~、大丈夫だよだって」

鈴はまじまじとした顔でみてくる。

「だって?」

「鈴、殺人鬼になれる勢いじゃん(笑)」

「そ・う・た~!?」

えっ!?

「鈴!まった~!!!」

「問答無用!!」

この時、俺は知らなかった。鈴が不安そうな顔をした本当の理由を・・・・。

鈴ごめん。いつも、いつも肝心なこと気付いてあげられなくて。今は、ただ謝ることしかできない。ぼくは、本当に無力だ・・・。

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