ボクと天使と青春中
「アタシ、会いにいってるよ!母さんが覚えてなくても一生懸命、話しもしてるよ!!」

「鈴・・・・。ごめん、ごめんね!!」

母さんは、泣いていた。

「病院に戻ろう」

母さんは、何度も何度も「ごめんね」と繰り返していた。母さんの背中が小さいということをはじめて知った。昔は、あんなに大きくみえたのに・・・・。

「ただいま」

「・・・・」

「鈴!居るなら返事ぐらいしなさい!!」

父さんが帰ってきた。

「・・・・・くせに」

「なんだ!」

「なんでもない」

母さんがあんなになったのは、父さんのせいだ。父さんがあんな酷いことをするから、だから。世に言うDVというものだ。

母さんは、父さんの暴力のせいでアタシが十二歳の時にパニック障害をおこして入院した。記憶もたまになくなりアタシのことも忘れているときがある。

父さんが会いに行ってないのは事実だと思う。

「もう、嫌」

風が泣くようにザワザワと音を立てていた。

「鈴、また来てるよ」

えっ?

「なっ!ちょっと、だけいいかさ!」

「はあ。嫌だって言ってんでしょ?!」

こいつは、最近アタシのとこに弓道を教えて欲しいと頼みにくる
隣のクラスの 天宮 侑士(あまみや ゆうし)とかいう奴。

「頼むよ!」

「バッカみたい」

今のアタシに他の奴の面倒を見てる余裕なんてない。

「りん~!!」

ん?夏?

「何?」

夏はキラキラした笑顔でアタシを見てくる。

「今日さ!プール行かねえ?」

「えっ・・・。」

アタシは、爽太の方を見た。

「いいね!行こうよ!!ねっ?鈴」

美香、ウィンクをしてくる。

「う・・・うん」

渋々、OKしてしまった・・・。

「じゃあ、決まりなっ!そんじゃあ、まあ後で!!」

「鈴、後でね~☆」

えっ!?ちょっ!なんで美香まで?!

「ちょっ!美香?!」

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