姫君




    *    *    *



『今日は、転校生を紹介する』



担任の一言に、教室はざわめいた。



「じゃぁ、入れ」



ガラ、とドアが開いた。



そこから見えたのは、真っ黒な髪。


真っすぐで、真っ黒で、艶やかで、


だけど。



「ほら、自己紹介しなさい」



担任が促す。


コクリと彼女は頷いてチョークを手にし
スラスラと文字を奏でる。





【竹之内 かぐや】




< 6 / 16 >

この作品をシェア

pagetop